会社経営のポイントやコツを紹介!「「遺留分損害回復の譲渡課税は当然?」・「税金と国税庁と海外」」

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DATE:2019.09.16

遺留分損害回復の譲渡課税は当然?



■遺産そのものの分割とそれに代わるもの

 遺産分割の方法として、@現物分割、A代償分割、B換価分割、があります。@以外は、遺産そのものの分割ではなく、それに代わるものです。@とAの間には対価性・譲渡性の有無という大きな相違があり、譲渡所得課税の有無という相違はAとBの間にあります。
登場人物が相続関係者だけというところが@とAの共通点で、相続持分の譲渡が行われる場合も、遺留分の減殺請求での金銭補償の場合も、登場人物が相続関係者だけだと、対価性・譲渡性の存在の事実は無視されることとされています。


■民法改正に伴う新たな対価性・譲渡性
 
 今般の民法相続編の改正で、遺留分減殺請求は、遺留分侵害額請求に改正され、その請求権の行使により生じる権利は金銭債権であるとされました。
 例えば、遺留分権の行使に対し、金銭が無いので、その代償として、相続不動産の一部を遺留分権者の名義にすることにして、遺留分問題を解決した、というケースがあったとします。改正後は、遺留分債務を相続不動産で代物弁済したということになります。ここでも対価性・譲渡性が確認出来ますが、結果としては、遺産そのものの分割@がなされたに過ぎない状態になります。
 ここでの登場人物は相続関係者だけです。


■譲渡所得課税は当然か?
 
 ところで最近、遺留分権が金銭債権であると法改正されたのだから、物権たる相続不動産の一部を代償としてあてがう様な場合は、ここに代物弁済行為が確認できるので、当然に、譲渡所得課税をすることになる、との情報が流されています。
 土地の代償として金銭を渡す(A代償分割)行為と、金銭の代償として土地を渡す(C遺留分侵害額弁済)行為と、どれも遺産分割作業の中での選択行為です。どちらも代償行為としての譲渡行為が確認されます。Aでは相続以外の財産が絡みますがCでは相続財産しか登場しません。それでも、Cの場合だけには、譲渡所得課税をする、というのです。
 従来から、代償分割になぜ譲渡所得課税をしないのか、代償債務は代償取得資産の取得費の性格があるのにこれを否定するのは正しくないのではないか、との議論がある中で、金銭債権化の民法改正を奇貨としてこれを強調し、真剣な議論を経ずに、ここの部分に対してのみの課税を急ぐのは、如何なものでしょうか。

税金と国税庁と海外



■国税庁は酒類の所管官庁
 
 お酒に対しては、その名の通りの「酒税」が課されます。納税義務者は「酒類の製造者」と「酒類を外国から輸入した者」ですので、一般的にはなじみが薄い税ですが、平均的な販売価格から算出すると、消費税込みの計算で、ビールは価格の約40%、日本酒は価格の約18%が税金です。
酒については税のことだけではなく、酒類業組合の監督や、酒類の製造・販売の免許制度の管轄、海外への日本産酒類のアピール、さらには資源リサイクルの推進やアルコール健康障害への対策等、国税庁は様々なことをやっています。


■海外需要を狙え!
 
 酒類の国内消費が落ち込んでゆく中、国税庁では近年、日本産の酒類の国際的な情報発信に力を入れています。実際に2018年の日本酒の輸出を見てみると、輸出量は2,500万リットルを超え、金額は222億円となっており、輸出金額は10年前に比べるとおおよそ3倍になっています。日本の「sake」ブランドは確実に海外に浸透しているようです。
 2019年8月には、海外の消費者にとって日本酒の選択の基準となる項目が少なく、なじみのある表現が少ないという課題に応え、海外への大規模調査を基に国税庁が国内事業者へ意見聴取をした上で、海外消費者が日本酒を理解し選択しやすくなる輸出用の「標準的裏ラベル」と「表記ガイド」を作成しました。
その他にも英国最大級の酒類見本市に国税庁主宰でブースを出展、G20サミットでのプロモーションなど、海外消費者への日本産酒類のアピールに余念がありません。


■ビールの扱いと今後の税率変更
 
 税制面においては2019年4月から「麦芽比率が約67%以上であるとビールとされていたものが50%までに拡大、追加する副原料も麦芽重量の5/100までならビールの範囲となりました。また、酒税の税率に関しても2020年10月から2026年10月にかけて、段階的に改正が予定されています。
 暑い日の仕事帰りにちょっと一杯、なんて時に「この酒のこれくらいは税金なんだよな」なんて思うのは無粋かもしれませんが、平成29年度税収の内1.3兆円は酒税。適正な課税や一定の需要・税収確保のため、関係者が色々と工夫や努力をしています。

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