トピックス一覧 DATE:2019.09.09 |
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いよいよ本年10月からの消費税率引き上げが迫ってきました。税率引き上げの影響の大きい住宅については、税制上の対策だけではなく、税制以外の対策も取られています。 ■住宅についての税制上の対策措置 (1)住宅ローン控除等の拡充(所得税) 消費税率10%の適用を受ける住宅の取得等については、令和元年10月1日から 令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合、住宅ローン控除の適用 期間が10年間から13年間に延長されます。 (2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠の拡充(贈与税) 直系尊属からの贈与により取得した住宅取得等資金で一定の要件を満たすものに ついては、非課税限度額までの金額について贈与税の課税価格に算入されませ ん。従来の非課税枠は最大1,200万円でしたが、消費税率10%の適用を受ける 住宅については、非課税枠が最大3,000万円まで拡充されています。 ■税制以外の対策措置 (1)すまい給付金の拡充 すまい給付金は、消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために 創設した制度です。消費税率が8%に引き上げられた平成26年4月にスタートした 制度で、最大30万円給付されるものでした。 本年10月の消費税率10%への引き上げ後は、最大給付額が50万円まで増額 されます。 新築・中古、住宅ローンの利用の有無にかかわらず給付が受けられますが、収入 (都道府県民税の所得割額)によって給付額が変わる仕組みとなっています。 (2)次世代住宅ポイント制度の創設 次世代住宅ポイント制度とは、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を 満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームをした人に対し、 さまざまな商品と交換できるポイントを発行する制度です。 住宅の新築(貸家を除く)の場合、1戸あたりに発行されるポイントの上限は35 万ポイント、住宅のリフォーム(貸家を含む)の場合、1戸あたりに発行される ポイントの上限は30万ポイントです。
■ふるさと納税は2019年6月に税制改正施行 個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。2018年度は全体で2,322万件、総額5,127億円の寄附がありました。 今年6月にはふるさと納税の改正が施行され、総務大臣による指定を受けていない自治体への寄附は、ふるさと納税の対象外となりましたが、この指定外とされた自治体である泉佐野市が、総務省に抗議をしています。 ■国地方係争処理委員会への意見陳述 「6月の改正後からはふるさと納税のお礼の品は用意せず、寄附のみの受付をする」と回答していた市を、過去の返礼品割合(寄附額と返礼品の価値の比率)で指定外にするのは法の遡及にあたるとして、泉佐野市は「国地方係争処理委員会」へ、審査申出を行いました。 この国地方係争処理委員会は、国の関与のうちに不服のある地方公共団体の長等からの審査の申出に基づいて審査を行い、国の関与が違法等であると認めた場合には、国の行政庁に対して必要な措置を行う旨の勧告等を行う機関です。税の分野で言えば国税不服審判所と似たような立ち位置でしょうか。 ■結論は9月上旬予定 泉佐野市の「法の遡及にあたる」との言い分を総務省は「5月以前の寄附はふるさと納税扱いするものだし、遡及ではない」と反論し、過去の状況を鑑みた上での指定除外については、「ふるさと納税指定制度に係る地方税法改正法が当然に想定し、許容するものだ」と主張しています。 また、この係争については委員会の規則にない「再答弁書」を総務省が出したことに対して、泉佐野市が機会の平等に反して公正公平さを欠くと批判し、再反論書の提出で機会の均等を確保するように求め、委員会側もそれを認めたようです。ちなみに再答弁書の提出は、規則にはありませんが禁止もされていないようです。 委員会は双方からの意見聴取も踏まえ、9月上旬までに結論を出す方針ですが、ここまでの泥仕合を見ると、ふるさと納税制度にはまだまだ整備が必要とも感じられます。 |
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