トピックス一覧 DATE:2019.02.12 |
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■与党大綱、消費増税「確実に実施」と明記 「消費税対策」が中心に据えられた平成31年度の税制改正。与党税制改正大綱では、「消費税率10%への引上げを平成31年10月に確実に実施する。」と明記され、現政権の堅い決意を表明しています。 既に30年11月に自民党税制調査会が「消費税率引上げに伴う対策について」の中で対策の大枠を掲げていました。 ----------------------------------------------------- 駆け込み・反動減 耐久消費財対策 中小・小規模対策 (平成31年改正) ---------------------------------------------------- 逆進性対策 軽減税率導入 ---------------------------------------------------- 負の所得効果対策 賃金引上げ 幼児教育無償化 ---------------------------------------------------- ■「複雑となりすぎた制度」環境整備急務 これが、与党税制改正大綱の「消費税率の引上げに伴う対応 の3項目に落とし込まれました。特に軽減税率導入時の混乱が予想されるため、環境整備が急がれます。 @ 需要変動の平準化に向けた取組み (価格表示・転嫁対策、住宅・自動車の措置) A 軽減税率制度の実施 (Q&A追加、個別相談、レジ導入支援など) B 医療費に係る措置 (診療報酬の補てん状況を調査・対策) ■「屋台でも免税」臨時販売場の出店容易に 東京オリンピック開催に備え、外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売所制度)が見直され、事業者が地域の祭りやイベントに免税店を出店する際の手続きが簡素化されます(「臨時販売場に係る届出制度」の創設)。現行制度では、屋台など短期間で免税店を出店する場合でも、常設店同様の提出書類(店の見取図、マニュアル、免税対象品目など)が必要で、審査に時間がかかるため、申請を見送るケースも多くありました。この制度の開始は、平成31年7月からとなります。 ■急増する金密輸に対策:買取側控除に制限 ニュース等で話題の「金密輸」についても対策が講じられます。国外から日本に金を持ち込む場合には、申告を行い、消費税を納める義務がありますが、密輸業者は金を隠して持ち込み、国内買取業者に消費税を上乗せして販売。差益を得ていました。 これに対し、@密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除を認めない、A金・白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の保存を仕入税額控除の要件に加える措置がされました(H31.4〜)。
■2つの組織再編成の適格要件を見直し 日本の組織再編税制(合併・分割・現物出資・株式交換・株式移転・現物分配)では、資産等の移転元法人と移転先法人の間で、資産等の譲渡があったものと考えます。 これらの譲渡は、法人税法上、原則として時価譲渡(非適格組織再編成)とされ、特例として一定の「適格要件」を満たす場合には簿価譲渡・引継ぎ(適格組織再編成)を行ったものとされます。 ---------------------------------------------- 原則 時価譲渡 (非適格組織再編成) ---------------------------------------------- 特例 簿価譲渡(引継ぎ) (適格組織再編成) ---------------------------------------------- 平成31年度の税制改正では、再編を円滑化するため、「適格要件」が見直され、次の2つの組織再編成についても新たに「適格組織再編成」の対象となります。 @ 親会社が子会社を完全子会社化した後に行う「逆さ合併」 A 間接保有の100%親会社株式を用いた組織再編成 ■完全子会社化後の「逆さ合併 現行法では、株式会社が株式交換等により100%子会社化した後(第1段階)に、完全子法人を存続法人とし、完全親法人を被合併法人とする「逆さ合併」(第2段階)を行う場合、100%子会社化の段階(株式交換等)で「継続保有要件」等を満たさないため、「非適格」とされていました。 今回の税制改正では、完全子会社化後に「逆さ合併」が見込まれている場合には、第1段階(株式交換等)の適格要件のうち「完全支配関係継続要件、「支配関係継続要件及び「継続保有要件は、その「適格合併の直前の時までの関係より判定するものとすることとなりました。 第1段階(株式交換) 第2段階(合併) ---------------------------------------------------------- P社 株式交換完全親法人 被合併法人(消滅法人) ---------------------------------------------------------- S社 株式交換完全子法人 合併法人(存続法人) ---------------------------------------------------------- そのため、このようなスキームは一連の「適格組織再編成」となります。 ■間接保有の完全親会社株式を用いた再編成 現行法では、合併、会社分割、株式交換等を行う場合に、親会社株式を対価とするときは、「適格要件」の「対価要件」を満たすためには、「直接完全支配関係にある親会社の株式」に限定されていました。 今回の税制改正では、「間接保有の完全親会社」も組織再編成の対価として交付する場合についても、「対価要件」を満たすものとして「適格組織再編成」となります。 |
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