トピックス一覧 DATE:2018.07.02 |
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■地面師暗躍「海喜館」事件 昨秋、大手住宅メーカーが土地購入を巡って「地面師」の被害に遭い、土地2000u、売買価格70億円の9割の63億円をだましとられた、と報道されました。同社は、土地所有権移転登記が出来なかったことにより、詐欺にあったことに気付いたようです。 同社のニュースリリースに、「当社の契約相手先が所有者から購入後直ちに当社へ転売する形式で」と記されているので、「第三者のためにする契約」(新中間省略登記)だった事が推測されています。 ■中間省略登記は禁止されていた 中間省略登記とは、不動産について、甲から乙への売買、乙から丙への売買があった場合に、所有権は甲→乙→丙と順次移転しているにもかかわらず、中間者乙への移転登記を省略して、甲から丙へ直接所有権が移転したこととする登記のことをいいます。中間省略登記には、登録免許税や不動産取得税が1回で済むというメリットがあります。ところが、平成17年3月に不動産登記法が改正され、登記申請の際、「権利変動の原因を証する情報(登記原因証明情報)」の添付が必須とされ、中間省略登記は封じられました。 ■中間省略登記復活の2類型 しかしその後「規制改革推進会議」が、法務省から「第三者のためにする売買契約の売主から第三者への直接の所有権の移転登記」または「買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転登記」という形での甲から丙への直接の移転登記申請が可能である旨を確認したので、その内容を周知すべきであるとの提言をしました。この提言内容は、平成19年1月12日法務省民事局から全国の法務局へ伝えられています。 ■登録免許税と不動産取得税と消費税 この第三者のためにする売買契約や買主の地位の譲渡による直接の移転登記は、甲から丙への直接の移転登記を認めるものです。登録免許税・不動産取得税も従前の中間省略登記と同様に1回分で足りることになります。それで、「新・中間省略登記」と呼ばれています。 なお、介在者が課税事業者であれば、課税物件の総額につき全当事者に消費税が課されることに変わりはありません。
■知らない人も多い?「特定支出控除」 「給与所得者の特定支出控除」ってご存知ですか? 「サラリーマンの経費計上制度」と言っても良いものなのですが、要件が厳しいため、あまり普及しているとは言えない控除です。特定基準の金額以上に、通勤費・転居費・研修費・資格取得費・帰宅旅費・勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等の合計:上限65万円)を業務に必要と認められ、使った場合に給与所得から控除ができる制度です。このように書くと「控除できる物も多いし、すごくいいじゃない!」と思いがちですが「経費合計が給与所得控除の額の1/2を超えた部分から」のみが控除となります。 例えば平成30年で年収600万円の方の場合、給与所得控除の額は174万円。特定支出費用が給与所得控除の半分である87万円を超えたら、超えた部分の額が所得控除となります。また、上記費用が「職務の遂行に直接必要であった」と、給与の支払者から証明書に一筆もらって確定申告する必要もあります。 ■出張族・単身赴任者向けの改正? 平成30年度税制改正では、「業務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるもの」の追加と、「単身赴任者の帰宅旅費」が、1か月に4往復を超えた部分が今までは対象外でしたが、その制限が撤廃されガソリン代と高速代も追加でOKという事になりました。自費で旅費や帰宅費用を捻出していた出張族や単身赴任者にはうれしい改正かもしれませんが、給与所得控除の1/2の額のハードルは依然健在ですから、まだまだ普及には遠いような気がします。 ■適用は平成32年から 財務省の「税制改正」パンフレットには載っていない、このちょっとした改正(国税庁の「改正のあらまし には載っています)の適用は平成32年分所得税からです。ちょうど給与所得控除も改正で一律10万円引き下げられる予定ですから、若干ではありますが、特定支出控除のハードルも下がります。この機会に、自費負担が多い職務の方は、年間どのくらいの支出があるか、計算してみてはいかがでしょうか? なお、「会社が負担してくれた費用」は、当然に特定支出控除とはなりません。また「職務の遂行に直接必要」なものしか認められませんのでご注意ください。 |
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