会社経営のポイントやコツを紹介!「「課税売上割合ゼロでも仕入税額控除可」・「「機械及び装置」と「器具及び備品」」」

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DATE:2019.08.19

課税売上割合ゼロでも仕入税額控除可



■自販機スキーム
 
 いわゆる自販機スキームと呼ばれる節税スキームでは、消費税の仕入税額控除の原則方式である個別対応方式を採らずに一括比例配分方式を採ることが前提になっています。居住用賃貸マンションの建設費は非課税売上対応課税仕入なので、個別対応方式だったら、もともと仕入税額控除の対象にならない制度設計になっているところを、一括比例配分方式を採ることで、その制度設計の目的を破綻させたわけです。そのために、平成22年度税制改正で調整対象固定資産の取得に係る3年縛り、平成28年度税制改正で高額特定資産の取得に係る3年縛りが規定されることになりました。


■売上ゼロのケース
 
 このような、課税売上を創り出して課税売上割合を操作するようなことを全くしないので、課税売上がなくて、課税売上割合がゼロになってしまっているケースがあります。会社の設立1期目などで商品等の課税商品仕入だけで売上ゼロのケース、外国法人の日本支店などが課税商品仕入をして外国法人本店に引き渡しているケース、などです。これらのケースでは、課税事業者に該当していれば、仕入税額控除が認められます。
 もともと、個別対応方式は原則方式であり、原則方式を維持している限り、課税売上対応の課税仕入は、課税売上割合と無関係に仕入税額控除がなされることになっています。


■仕入税額控除の計算式
 
 個別対応方式の計算式は、課税仕入を、@課税売上にのみ要する課税仕入、A非課税売上にのみ要する課税仕入、B課税売上と非課税売上の共通の課税仕入、に区分し、「@+B×課税売上割合」となっています。
 したがって、課税売上がゼロの課税期間であっても、上の@の値に影響がなく、仕入税額控除に制限が加えられることはありません。
 消費税の通達によると、次のような課税仕入がそのまま仕入税額控除の対象になると説明されています。
 (1)そのまま他に譲渡される課税資産
 (2)課税資産の製造用にのみ消費し又は使用される原材料、消耗・備品等
 (3)課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等



「機械及び装置」と「器具及び備品」



■機械装置と器具備品の関係史がある

 「機械及び装置」と「器具及び備品」は排除から取り込みへの変遷の歴史をもっています。
税務上、機械装置は総合償却資産とされ、器具備品は個別償却資産とされています。そして、器具備品を含む耐用年数表のタイトルは、「機械及び装置以外の……」との書き出しなので、両方に属して任意に選択する関係にはなっていません。


■初めは排除の歴史

 産業育成のため、機械装置への税制優遇が多かった時代は、器具備品だからとして適用排除される係争事例が多く、判旨としては、標準設備(モデルプラント)を想定し、その最初の工程より最後の工程に至るまで有機的に牽連結合して活動するものが機械設備なのだから、というものでした。
 よく引用される裁判例として、医療機関に係る臨床検査で使用される機器類が、作業工程での有機的な牽連結合関係にないとして、「機械及び装置」非該当とされ、優遇税制適用否認されているもの、があります。


■最近は取込みの歴史の段階
 
 総合償却の場合の耐用年数は個別償却の場合の耐用年数より長いので、長い耐用年数を適用すべき、として器具備品該当を否認し、機械装置該当とする事例が発生し、最近判決が出ています。
 自社工場から、ビルの中の店舗街の一角の販売店に持ち込んだ製品に、さらに最終工程作業を施して個別販売用にするに当たって使用する、冷凍・冷蔵庫が、器具備品ではなく機械装置だ、とされています。製品完成工程に必要な機器の集合体の構成要素だから、と判示しています。


■有機的な牽連結合関係を無視する傾向も
 
 機械装置の耐用年数表は製造業対象に昭和17年に、作業工程での有機的な牽連結合関係との考え方を明確にして創設的に始まり、昭和26年の改正でホテル・旅館・料理店・クリーニング等のサービス業も含められ、その後全産業に拡がり、昭和39年の改正で建設業等で使用するブルドーザー・パワーショベルなどが作業工程での有機的な牽連結合関係とは無関係に追加され、平成20年の改正で、例えばクリーニング設備が耐用年数7年から13年に延長されたのを機会にコインランドリーの洗濯機のような作業工程や機械間の有機的牽連結合がないものも機械装置に分類されるとの業界指導がなされるに及んでいます。

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