トピックス一覧 DATE:2018.11.26 |
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■例年12月はパートの勤務時間の調整時期 例年、12月になると、配偶者控除目的の勤務調整により、パートさんの休みが増えて、雇用者側ではその補充等の対応が大変でした。ところが、平成30年の税制改正で、その対応に変化が必要であるということについて、当のパートさん自身が十分に把握できていない状況にあるようです。 ■平成30年税制改正の配偶者控除・特別控除 (1)配偶者の所得が高ければ考慮不要 これまでは、配偶者控除を受ける人(以後、わかりやすいように“相方”と称します)の所得の多寡には関係なく、働いて所得を得た人(同じく、“本人”とします)の所得が38万円以下(=給与収入にして103万円以下)の場合に、相方が配偶者控除を受けることができました。そのため、この範囲内にパート勤務を抑える人が多かったことから103万円の壁と呼ばれていました。 平成30年の税制改正では、相方の所得が一定額※以上の場合、そもそも配偶者控除が適用されないこととなっています。これは配偶者控除対象の本人が働いておらず、収入がゼロであっても、適用されません。 ※本人の合計所得が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える場合に適用されません。 所得が900万円超〜1,000万円以下(給与収入1,120万円〜1,220万円)では 26万円か13万円の適用となります。 (2)パートの勤務調整は相方の所得次第 相方の所得が高ければ、パート勤務の就業時間調整をしても「配偶者控除対策」という意味はないことになります。12月に勤務調整をしないで働き続けても問題はありません。一方で、相方の合計所得が900万円超〜1,000万円の人は、相変わらず、就業時間調整の要望は残るでしょう。 ■相方の勤務先の家族手当の基準等にも注意 では12月の勤務調整はどうすればよいのでしょうか? 「相方の合計所得が900万円超〜1,000万円の人は、いままで以上にシミュレーションが必要」としか言えません。 手取り額の損得で考える場合、@配偶者控除の額、A配偶者特別控除の額(相方の所得と本人の所得により1万円から38万円の控除)、B社会保険料の壁130万円(大企業の場合106万円)も、検討要素となります。また、相方の勤務先に家族手当の所得基準がある場合は、それも大きな検討要素となります。
■今年の配偶者控除改正の影響は? 2018年の1月から配偶者控除の仕組みが変わり、年収に対する税額控除ラインが上がりました。これまで通り配偶者(普通は妻)の年収が103万円を超えると配偶者特別控除が適用にはなりますが、控除額が減額され始めるのが150万円(所得85万円)超からになりました。配偶者の年収が150万円を超えると段階的に控除額が下がり、201万6千円(所得123万円)で0になります。 また、高額所得者の配偶者(普通は夫)の年収が1120万円(所得900万円)以下ならば控除額は38万円ですが、この額を超えると控除額が下がり年収1220万円(所得1千万円)超で控除はなくなります。高額所得者世帯で影響が出るところがありそうです。 ■税制以外の年収制限要因 税制面では控除額減額開始が年収150万円に引き上げられましたが、妻が単純に収入を増やしたいというわけではありません。夫の勤務する企業で扶養手当が支給される場合にその手当を支給する基準を年収103万円以下と定めている企業が多くあり、その金額を超えると手当が支給されなくなってしまいます。一般的に月数万円位が支給されているので収入を増やしても手当が無くなってしまう方が影響は大きいのです。 また、社会保険の被扶養者は年収130万円未満とされていてそれ以上の収入になると自分で勤務先の社会保険に加入するか国保加入する事になります。さらに501人以上の企業では年収106万円を超えると企業の社会保険に加入しなければなりません。 毎年秋になるとその年の年収を調整しなければならない妻の事情は今年も変わっていないようです。 ■社会保険加入に積極的な面も 一方で2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となった時に、保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた政府は加入者の増加数に驚いたそうです。新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。保険料負担をしても収入を増やして手取りを増やせる位働こうと考える人もいるという事です。 人生100年時代に備えて将来の年金額を増やしたい人も増えている側面もあるのでしょう。 |
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