トピックス一覧 DATE:2017.11.20 |
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■「事前確定届出給与」とは? 法人税法では、原則として役員へのボーナスを損金に算入することは認められていません。しかし、事前に税務署のお墨付きをもらい、損金算入が認められるものがあります。これを「事前確定届出給与」といい、具体的には次の@とAに該当するもの(職務執行前に支給時期や支給額が決まっていることが確認できるもの)をいいます。 @定め その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給 する給与 A届出 届出期限までに納税地の所轄税務署長に事前確定届出給与に関する届出をして いるもの ■事前確定届出給与に関する定め この事前確定届出給与の適用を受けたい場合には、@の定めを定時株主総会又は取締役会の議事録に残します(「いつ」「誰に」「いくら」払うという事項の記載が必要)。 【例】議長は、下記の事前確定届出給与を支給したい旨を提案し、その承認を受けた。 支給日:平成〇年〇月〇日 支給対象及び支給額 代表取締役△△ 〇〇〇円 ■届出書の届出期限には要注意! 次にAの届出を所轄の税務署に提出します。届出期限は次のAとBのうち、いずれか早い日になります。 A 株主総会等の決議の日から1月を経過する日 B 会計期間開始日から4月を経過する日 例えば、3月決算法人(定時株主総会5月20日)の場合には、Aが6月19日、Bが7月31日となり、AとBの早い日である6月19日までが届出期限となります。 ■届出は「役員ごと」「職務執行期間ごと」 Aの届出には、次の届出書と付表をセットにして提出することになります。 届出書 1枚 「決議をした日」「決議をした機関」「届出期限となる日」などを記載 付表1・2 事前確定届出給与等の状況 支給人数分 対象者氏名(役職名)・職務執行期間(総会日〜)・事業年度(執行期間開始日の 属する会計期間と翌会計期間)など記載 事前確定届出給与は、役員ごと、職務執行期間(定時総会日〜次の総会日)ごとで個別にエントリーする形になります。
■届出額と支給額が違えば原則損金不算入 事前確定届出給与について「届出額と実際の支給額が違ったらどうなのか?」という質問をよく受けます。結論からいうと、届出どおりの支給が行われなければ、基本的には支給額の全額が損金不算入となります(未払計上は原則認められません)。 ■一職務執行期間中複数回支払いがある場合 一職務執行期間中に複数回の支払いがあるときは、少し取扱いが複雑になります。 次の設例で考えてみましょう。 (例)当社(3月末決算)が定時株主総会(H29.5.26)にH29.12.25及びH30.5.20に200万円ずつ支給する旨を決議し、事前確定届出給与届出書を提出している ここで3つの支給パターンを検討します。 12月給与(H30.3決算) 5月給与(H31.3決算) イ 100万円支給× 200万円支給× ロ 200万円支給〇 400万円支給× ハ 200万円支給〇 支給なし(―) (〇…損金算入・×…損金不算入) 届出どおりの支給が行われているかの判定は、一職務執行期間(H29.5.26から1年)に支給が複数回にわたる場合には、「職務執行期間の全期間を一単位として行います。 (イの場合) 12月分が届出どおりに支給されなければ、職務執行期間のすべてが定めどおりに行われないことが確定するため、支給のすべてが損金不算入となります。 (ロの場合) 12月分を届出どおり支給していれば、H30.3月決算時点では、損金不算入とする理由がありません。そのため、200万円を損金算入する申告が認められます。 その後5月に届出どおりの支給がなければ、前年度12月分も損金不算入となり、本来修正申告が必要となりますが、支給しなかったという事実が前年度の課税所得に影響を与えるのも変な話ですので、5月支給の400万円のみが損金不算入とされます。 (ハの場合) 5月分は届け出たものの支給しなかったため、不算入とする金額もありません。申告調整も行わないことになります。 ■特定の役員だけが届出どおりでない場合 複数の役員について事前確定届出給与の届出をしている場合に、特定の役員のみ届出通りの支給をしなかったときは、役員全員分の給与が損金不算入の対象とならず、その届出どおりの支給をしなかった役員の給与のみが損金不算入となります。 |
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