トピックス一覧 DATE:2017.04.03 |
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株式投資信託(追加型)の課税実務においては、「個別元本」と「取得価額」の二つの数字が出てきます。 ■個別元本とは 個別元本は、投資信託を購入した時の時価で、それは「購入価額」のことです。株式であれば「株価」に相当するものですが、投資信託の場合は「基準価額」となります。 具体的には、ファンドに組み入れられた株式や債券などの資産の時価総額を受益権口数で割った一口当たりの純資産価額のことです。通常、投資信託は設定時点の基準価額を1万円として販売しています。 ■取得価額とは 一方、取得価額は、個別元本に販売手数料(税込)を加えたものです。 例えば、個別元本が9000円で販売手数料3.24%の場合、取得価額は9000円+291円で9291円となります。 それでは、この二つの金額が課税実務でどのような違いを生むのかを整理してみます。 ■特別分配金では個別元本を使用 特別分配金の計算をする場合には、個別元本を使用します。特別分配金は、分配金を支払った後の基準価額が個別元本を下回る場合、その下回った額の部分を指します。 先の例では、個別元本9000円、分配金支払い後の基準価額が8800円、分配金が300円とすれば、特別分配金は200円、普通分配金は100円となります。この普通分配金は、配当所得として課税の対象になりますが、特別分配金は、「元本の払い戻し」に相当しますので課税対象外です。 ■特別分配金による修正 しかし、特別分配金が支払われると、個別元本と取得価額は特別分配金の金額だけ修正されます。 先の例では、個別元本は8800円、取得価額は9091円となります。 ■譲渡損益では取得価額を使用 投資信託を売却して譲渡損益を確定する際には、取得価額を使用します。 先の例で、ファンドの運用が良好で譲渡時には基準価額が10500円になっていれば、譲渡益は10500円−9091円で1409円となります。 なお、特定口座では、これらの計算結果を取引報告書に掲載してくれていますので、自身で計算することはありません。
■受給する年金額について 1月に総務省より公表された「平成28年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)は対前年比0.1%の下落となりました。平成29年度に支払われる年金額は4月分が支払われる6月から引き下げとなります。0.1%の例で見てみると、例えば40年間年金に加入した人の新規裁定者で国民年金ならば平成28年度は月額65,008円でしたが、平成29年度はマイナス67円の64,941円となります。また、厚生年金で夫婦の場合標準的な年金額は平成28年度は221,504円でしたが平成29年度はマイナス227円の221,277円となります。 年金額の改定は物価変動率、名目手取り賃金変動率が共にマイナスで名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年金を受給し始める年金額、受給中の年金額共に物価変動率によって改定になります。平成29年度は0.1%引き下げられることになりました。 ■国民年金保険料について 国民年金の保険料は平成16年の制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29年度で設定されていた上限に達し、固定される予定です。実際の保険料は名目賃金の変動に応じて毎年改定されます。平成29年度の国民年金保険料額は月額16,490円で前年より230円上がります。但し平成30年度の保険料は平成29年度より150円下げ16,340円の予定です。 ■在職老齢年金について 働きながら年金を受給する在職老齢年金の仕組みは、60歳台前半では賃金月額と前年賞与の12分の1と年金月額の合計額が支給停止調整開始額(28万円)を上回ると賃金の増加2に対し年金額は1を支給停止します。賃金が47万円(平成28年度)を上回る場合は増加分が支給停止されます。 60歳代後半、70歳以降は賃金と年金額の合計が47万円(平成28年度)を上回る場合、賃金の増加2に対し1を支給停止します。 平成29年度の在職老齢年金に関しては60歳台後半と70歳以降の支給停止調整額は46万円に変更されます。60歳台前半の支給停止調整開始額28万円は変更されません。 |
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